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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第5章 いざない
【4】
「──ぷあっ」
「──うわっ!?」
「!?」
そして次に少女が顔を上げたのは、夕日に赤く染まる雲海の中だった。
「あ……あれ? なんで? どうして?」
息苦しさに一度おもいっきり深呼吸して、訳も分からず辺りを見回せばその中に一ヶ所ぽつんと岩の台座がある。そしてその上には、
「オイオイ──お前、あん時の嬢ちゃんじゃねえか? どっから来たんだよ」
「……」
「──あ……っ!?」
見たことのある二柱の神々がいて、片方は驚いたように、片方は怪訝そうにこちらを見下ろしていた。
二柱に見えるのは仰々しい木彫りの面に緋の鬣、揺れる黒髪に美しい玉の緒。
「さ──猿彦さん……、……日嗣……様?」
「……」
「……っ」
何か含みのある声音で名を呼んだくせに、目が合った途端野良猫のように視線を反らす少女に、日嗣は更にその端正な顔を歪める。
それがやはり怒られているような感じがして少女は身を縮めるが──だが今はあんな話をしたばかりで、あの場面を思い出して、どんな顔をして会えばいいというのだろう。日嗣と真っ正面から向き合うには、もう少し時間が欲しかった。
「とりあえず引き揚げてやるから掴まれ。泳げるか?」
「あ、は……はい、多分」
「──ぷあっ」
「──うわっ!?」
「!?」
そして次に少女が顔を上げたのは、夕日に赤く染まる雲海の中だった。
「あ……あれ? なんで? どうして?」
息苦しさに一度おもいっきり深呼吸して、訳も分からず辺りを見回せばその中に一ヶ所ぽつんと岩の台座がある。そしてその上には、
「オイオイ──お前、あん時の嬢ちゃんじゃねえか? どっから来たんだよ」
「……」
「──あ……っ!?」
見たことのある二柱の神々がいて、片方は驚いたように、片方は怪訝そうにこちらを見下ろしていた。
二柱に見えるのは仰々しい木彫りの面に緋の鬣、揺れる黒髪に美しい玉の緒。
「さ──猿彦さん……、……日嗣……様?」
「……」
「……っ」
何か含みのある声音で名を呼んだくせに、目が合った途端野良猫のように視線を反らす少女に、日嗣は更にその端正な顔を歪める。
それがやはり怒られているような感じがして少女は身を縮めるが──だが今はあんな話をしたばかりで、あの場面を思い出して、どんな顔をして会えばいいというのだろう。日嗣と真っ正面から向き合うには、もう少し時間が欲しかった。
「とりあえず引き揚げてやるから掴まれ。泳げるか?」
「あ、は……はい、多分」