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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第5章 いざない
「ご──ごめんなさい……!! 私……!!」
「……構わぬ、これは俺の友だ。でなければ、誰が釣竿で俺の神紋を突けるものか」
少女は慌てて右肩を押さえて頭を下げるが、日嗣はその表情のまま短く応えた。もとより、猿彦にはあの時からとうに知られている。
だがそれに反し、既に一度言い付けを破っていることをも思い出した少女は恐々と目を伏せた。
「で、でも……あの、猿彦さんだけじゃないんです……。私……自分の禊と童にも」
「あれらはお前の手足であり、第二、第三の命でもある。故にお前が秘することは必ず秘する。気にする必要すらない」
「……どういう意味ですか?」
「……言葉通りの意味だが?」
「……、……ごめんなさい……」
何だか、せっかく再会できたというのに……。
……あまりの男の素っ気なさに、少女は自分の細やかな感傷まで凍らされて眉を下げた。
(そうだよね……一回会っただけだもん。しかもあれは……助けてくれただけだし……)
考えてみれば、自分に取っては衝撃的で印象的な出来事だったとはいえ、その感覚を男にまで負わせるのはやはり図々しいというか……間違っていたかもしれない。妻神もいるというし、もしかしたら口を利くこと自体が迷惑かもしれない。
「……構わぬ、これは俺の友だ。でなければ、誰が釣竿で俺の神紋を突けるものか」
少女は慌てて右肩を押さえて頭を下げるが、日嗣はその表情のまま短く応えた。もとより、猿彦にはあの時からとうに知られている。
だがそれに反し、既に一度言い付けを破っていることをも思い出した少女は恐々と目を伏せた。
「で、でも……あの、猿彦さんだけじゃないんです……。私……自分の禊と童にも」
「あれらはお前の手足であり、第二、第三の命でもある。故にお前が秘することは必ず秘する。気にする必要すらない」
「……どういう意味ですか?」
「……言葉通りの意味だが?」
「……、……ごめんなさい……」
何だか、せっかく再会できたというのに……。
……あまりの男の素っ気なさに、少女は自分の細やかな感傷まで凍らされて眉を下げた。
(そうだよね……一回会っただけだもん。しかもあれは……助けてくれただけだし……)
考えてみれば、自分に取っては衝撃的で印象的な出来事だったとはいえ、その感覚を男にまで負わせるのはやはり図々しいというか……間違っていたかもしれない。妻神もいるというし、もしかしたら口を利くこと自体が迷惑かもしれない。