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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第5章 いざない
「なっ、何? やっ、だめ動かないでっ」
「……」
そのくすぐったさに少女が襷や衣をまさぐると、衣の中からキィ、と何かが鳴く声がする。それを聞いた日嗣は無言のまま少女に近付くと跪き、
「えっ──」
衿を掴むと衣を崩しその胸元をあらわにした。
「……!」
そしてそれを待ち望んでいたかのように勢いよく飛び出してきたのは、あの──水色と銀の小さな龍を更に小さくしたような、龍の子供。
「この子は──」
少女は羞恥心も忘れて、勢い余って岩の上に転がり落ちた小さな龍を凝視する。まだ角が無くて蜥蜴(とかげ)のようにも見えるそれは、飛び起きてぷるぷると頭を振ると自分を覗き込む少女と日嗣を見比べ──少女と目が合うと、まるで離れたくないと言わんばかりにその腕によじ登って絡み付いた。
「……チ龍だ」
「え? な、なんですか?」
「蛟の、もっとうんと下の若いやつだな。色がまだ黄色っぽいし角も無いだろ。──にしてもよっぽど好かれてんだな」
「……はあ」
衿を直しながら日嗣と猿彦を見、最後にその龍の子を見れば……黒い瞳だけは変わらず可愛らしくくりくりと動き、本人はただ嬉しそうにキィと鳴いた。
「……」
そのくすぐったさに少女が襷や衣をまさぐると、衣の中からキィ、と何かが鳴く声がする。それを聞いた日嗣は無言のまま少女に近付くと跪き、
「えっ──」
衿を掴むと衣を崩しその胸元をあらわにした。
「……!」
そしてそれを待ち望んでいたかのように勢いよく飛び出してきたのは、あの──水色と銀の小さな龍を更に小さくしたような、龍の子供。
「この子は──」
少女は羞恥心も忘れて、勢い余って岩の上に転がり落ちた小さな龍を凝視する。まだ角が無くて蜥蜴(とかげ)のようにも見えるそれは、飛び起きてぷるぷると頭を振ると自分を覗き込む少女と日嗣を見比べ──少女と目が合うと、まるで離れたくないと言わんばかりにその腕によじ登って絡み付いた。
「……チ龍だ」
「え? な、なんですか?」
「蛟の、もっとうんと下の若いやつだな。色がまだ黄色っぽいし角も無いだろ。──にしてもよっぽど好かれてんだな」
「……はあ」
衿を直しながら日嗣と猿彦を見、最後にその龍の子を見れば……黒い瞳だけは変わらず可愛らしくくりくりと動き、本人はただ嬉しそうにキィと鳴いた。