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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第5章 いざない
得体の知れない不気味さと、結果的に自身が少女を名付けてしまったかのような具合の悪さに、日嗣は再び顔をしかめる。
否──本来は言祝ぐべき名前なのかもしれない。巫女ならば尚更、祝福されるべき名前だろう。
だが今はもはや、淡島の巫女達は──……。
「……」
それ以上は考えるのも忌々しく、友を見遣ればやはり何か問いたげにこちらを見ていた。
「……猿彦さん? 日嗣様?」
「……ああいや、何でもない」
不思議そうに小首を傾げ、あどけなく自分達を呼ぶ少女に、日嗣同様猿彦もまた痛々しく笑い頭を横に振る。
「神が依る、神を依せる、か。だからこうやってまた三人で会えたのかもな。まあ、俺達も一応神様だし」
黙ってしまった日嗣の代わりに、場持たせのように少女──神依に話し掛ければ、神依は一瞬きょとんとして、それから柔く笑ってそれに答えた。
「一応なんてそんな。猿彦さん達は偉い神様だと、禊達から聞きました」
「あー、違う違う。偉いのは孫の方な。俺が孫って呼ぶのは、気の利いた嫌味だから」
「……はい。高天原で一番偉い女神様の、お孫さんなんですよね」
「そんな話はどうでもいい」
「え、あ……、ごめんなさい……」
否──本来は言祝ぐべき名前なのかもしれない。巫女ならば尚更、祝福されるべき名前だろう。
だが今はもはや、淡島の巫女達は──……。
「……」
それ以上は考えるのも忌々しく、友を見遣ればやはり何か問いたげにこちらを見ていた。
「……猿彦さん? 日嗣様?」
「……ああいや、何でもない」
不思議そうに小首を傾げ、あどけなく自分達を呼ぶ少女に、日嗣同様猿彦もまた痛々しく笑い頭を横に振る。
「神が依る、神を依せる、か。だからこうやってまた三人で会えたのかもな。まあ、俺達も一応神様だし」
黙ってしまった日嗣の代わりに、場持たせのように少女──神依に話し掛ければ、神依は一瞬きょとんとして、それから柔く笑ってそれに答えた。
「一応なんてそんな。猿彦さん達は偉い神様だと、禊達から聞きました」
「あー、違う違う。偉いのは孫の方な。俺が孫って呼ぶのは、気の利いた嫌味だから」
「……はい。高天原で一番偉い女神様の、お孫さんなんですよね」
「そんな話はどうでもいい」
「え、あ……、ごめんなさい……」