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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第6章 巫女として
だから絶対に、語ってはいけない。神々に愛されない巫女は孤独なのだ。
それでも巫女をそこに連れていくのは……彼女達全てに子を生む可能性があるから。
この奥社の最深奥、湧き水と苔に侵された暗い石室の祭殿。
そこに祀られているのは、原初の女神──この世界を創り、あらゆる神を生み、しかしそれが原因で命を落とし、その死という穢れによって愛する背と悲惨な決別をした女神だった。
だから、女は最も死に近い場所で生を育むということを知らなければならない。洞主たる自分は、どれだけ穢れが忌まわしく避けなければならないものか、語らなければならない。
そして、この夫婦神に取っては望まぬ存在であっただろう水蛭子から、巫女へ……もう一度生まれ変わる体で、女神より名を貰うのだ。
「……」
いや──やはり体裁という言い方は相応しくはないのかもしれない。
かつては自ら、時の洞主に手を引かれてやってきた。だからこそ理解できる感覚。
その巫女としての名は祭壇に張られた水鏡に墨を落としたように浮かび、それを得た瞬間の自分は確かに──何かが神から降されたような、そんな気がしたのだ。そして本当に生まれ変わったかのように、頭の中で自然に巫女の役目も認識していた。
それでも巫女をそこに連れていくのは……彼女達全てに子を生む可能性があるから。
この奥社の最深奥、湧き水と苔に侵された暗い石室の祭殿。
そこに祀られているのは、原初の女神──この世界を創り、あらゆる神を生み、しかしそれが原因で命を落とし、その死という穢れによって愛する背と悲惨な決別をした女神だった。
だから、女は最も死に近い場所で生を育むということを知らなければならない。洞主たる自分は、どれだけ穢れが忌まわしく避けなければならないものか、語らなければならない。
そして、この夫婦神に取っては望まぬ存在であっただろう水蛭子から、巫女へ……もう一度生まれ変わる体で、女神より名を貰うのだ。
「……」
いや──やはり体裁という言い方は相応しくはないのかもしれない。
かつては自ら、時の洞主に手を引かれてやってきた。だからこそ理解できる感覚。
その巫女としての名は祭壇に張られた水鏡に墨を落としたように浮かび、それを得た瞬間の自分は確かに──何かが神から降されたような、そんな気がしたのだ。そして本当に生まれ変わったかのように、頭の中で自然に巫女の役目も認識していた。