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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第6章 巫女として
また禊の在り方も似ている。大切なことは何一つ告げずにひたすらに献身的で、目に見えない優しい圧力で押し潰そうとする。
もしも共に時を重ねることができたなら、他の巫女とは違う、禊とも違う──良き理解者になって貰いたいと思うのだが……。
──と、そこまで思ったとき、前方に祭壇の間の灯りが見えてきて洞主はほっとして体の力を抜いた。
やはり生ある者として、そこに向かう道筋の恐怖や緊張は拭い切れないのだ。
暗闇の中、無事に辿り着けたと気が緩んで洞主は笑みながら少女に振り向き、
「──怖がらせてしまったかえ? でももう直ぐに……、……?」
謝罪の意も込め殊更に明るい声を掛けたのだが、少女はもうそこには居らず……ただ一人、自分だけが暗闇に立ち尽くすのみになっていた。
「──…!?」
それを脳が理解した瞬間、身体中の血が凍り付いたような心地になって肌が粟立つ。
少女がいたはずの空間は、今やぽっかりと口を開けるだけの暗闇になっていて……。
洞主にはそれが涎を啜りながら舌なめずりしているように見えて、動いたらその汚ならしい歯と舌が襲い掛かってくる気がして、微動だにできなくなった。
(そんな──そんなはずはない)
もしも共に時を重ねることができたなら、他の巫女とは違う、禊とも違う──良き理解者になって貰いたいと思うのだが……。
──と、そこまで思ったとき、前方に祭壇の間の灯りが見えてきて洞主はほっとして体の力を抜いた。
やはり生ある者として、そこに向かう道筋の恐怖や緊張は拭い切れないのだ。
暗闇の中、無事に辿り着けたと気が緩んで洞主は笑みながら少女に振り向き、
「──怖がらせてしまったかえ? でももう直ぐに……、……?」
謝罪の意も込め殊更に明るい声を掛けたのだが、少女はもうそこには居らず……ただ一人、自分だけが暗闇に立ち尽くすのみになっていた。
「──…!?」
それを脳が理解した瞬間、身体中の血が凍り付いたような心地になって肌が粟立つ。
少女がいたはずの空間は、今やぽっかりと口を開けるだけの暗闇になっていて……。
洞主にはそれが涎を啜りながら舌なめずりしているように見えて、動いたらその汚ならしい歯と舌が襲い掛かってくる気がして、微動だにできなくなった。
(そんな──そんなはずはない)