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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第6章 巫女として
 そうして日嗣の言葉が増える度に緊張感を増していく部屋の空気に、当の神依本人は居心地の悪そうな顔をして身を縮ませてしまう。
 そして足を崩しがてらほんのちょっと席を下がると、一体何がどうなっているのかを禊に囁き問うた。
「禊……みたままつりって、そもそも何?」
「後できちんとお話致しますので、この場では」
「……私、どうしたらいい?」
「それは……、……」
言いかけて、上座の神の視線に気付いた禊は神依を仕草で促し前を向かせる。
 神依もそれに気付き、いつもと違う言葉遣いや雰囲気の日嗣にただ黙して言葉を待った。
「お前は、私があの禍津霊の首と胴を断つ瞬間を見ていたであろう」
「……はい」
「御霊祭とは、その魂に神名を与え神として祭り上げる儀式のことだ。
今は殯(もがり)に服す龍の、魂が離れぬよう結んだ玉の緒を解き、巫女が舞にてそれを興す。その魂に天津神である私が神名を与える神詞(かみことば)を詠み、神と成す。
その新たな神から了承と、天津神への服従が宣誓されたなら、巫女はそれを受け淡島の人間として新たな神への服従を誓う」
(や……ややこしい……)
何のことやら、分からない言葉はひとまず置いておいて、神依は日嗣をてっぺんに据えた三角形と矢印の図を頭に描きながら、なんとかその仕組みを理解していく。
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