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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第6章 巫女として
誤解されやすいんだよなあ、と軽く笑い飛ばす猿彦に、神依はどことなく安心して肩の力を抜く。
(嫌われてたんじゃないんだ)
 と、そこへ、禊が盆を持ってやってきた。
「──失礼致します。突然のお越し故、充分な酒肴もご用意できませぬが」
「ああ、気にすんな。俺は酒だけありゃ充分だ」
そう言って大きな盃を取る神に勧められ、神依も小さな猪口に薄く注いでもらい一舐めしてみたが……苦くてあまり美味しくなかった。猿彦を見ればさも美味そうにそれを煽り、再び禊に盃一杯に注ぎ足してもらっている。
「神依は初酒か?」
「はい。だからこれも全部飲めるかどうか……」
「慣れだろうな。……酒が何からできるか知ってるか?」
「はい、お米ですよね」
「当たりだ。──好きになってくれると嬉しいんだけどな」
そう言いながら猿彦は盃を傾けていくが、神依にはまだ「酒」と「美味しい」を結び付けることはできない。舌は苦味を感じるし、鼻の奥がツンと痛む気もする。
 そしてこちらに戻ってきた子龍に「飲む?」と冗談混じりに猪口を差し出してみれば、子龍は嬉しそうに一鳴きするとコクコクと喉を鳴らして勢いよく飲み干し、そのままふら~っと気持ち良さそうに神依の膝の上で眠ってしまった。
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