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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第6章 巫女として
「神様はみんなお酒が好きなんですか? お供え物にもありますよね」
「そうだな、俺も大概だけど孫は更に酒豪だぞ。水みてーに飲むから下手に付き合うとこっちが潰されちまう。まあ酔えねえっていうのも、宴の席じゃ損な役回りなんだろうけどな」
「えっ……日嗣様が、宴?」
神依は先程の、厳格そうな日嗣の姿を思い浮かべてみるみる目を丸くする。なんというか……似合わない。逆に他の神様達の方が怖がって飲めなくなりそう、と思えば、それを察したのか猿彦は苦笑気味に言葉を続けた。
「んな不思議そうな顔すんなよな。さっきのこと思い出してんだろうけど、ああいう時の孫は結構無理してんだぜ。きっと頭ん中真っ白にしてただろうなあ」
「真っ白?」
「何も考えない方が楽に振る舞える時ってあるだろ」
「……」
その意外な話の種に、神依は不思議そうな顔のまま猿彦を見上げた。
「……あの日嗣様が?」
「ああ、あの日嗣様が、だ」
「……」
それがどういうことか癖のように禊を見れば、禊は先程の童同様、自分には聞いてくれるなと言うように軽く首を横に振る。
 どうやら禊や童には、まだ神様という存在は遠いものらしかった。
 それで再び猿彦に視線を戻せば、猿彦は何か言い含めるように神依に語ってくれた。
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