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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第6章 巫女として
 その神依の問いに、猿彦は姿勢を崩すと心底不思議そうな顔をして空を仰ぐ。
「雲海の異変に気付いて道を拓いたのは俺だけどな。手を伸ばしたのは孫だからわかんねーけど、穢れ云々ってのは別に関係無えと思うぞ?」
「えっ? ……神様なのに?」
「そら早々死にもせず、若いままの天津神のお偉いさん達は忌み嫌うモンかもしれねえけどな。……俺達国津神は、まだちゃんと巡りってもんを覚えてる。どんなに避けようが、見て見ぬ振りをしようが──そういうものが命に組み込まれてるのをちゃんと覚えてるからな。別に、それだけで嫌がったりはしねえさ」
「でも……なら、天津神の日嗣様は?」
「んー。……そりゃ孫が、そういう道理をわきまえてて、実は魂の底ったは優しい神様だったから……ってのは駄目か? お前ならちっとは感じてくれてるだろ?」
「ん……」
最後に内緒話をするような声音で「二人っきりん時に」と付け足され、困ったようにうつむく神依に猿彦はからからと笑う。
「酒と同じでまだ早かったな」
「猿彦さん」
「でも孫が必要としてんのはそういう奴だ。どうしたって色眼鏡で見られる奴だからな。何にも囚われず、ただまっすぐに向き合える奴が孫には必要なんだ。だから──ま、お前はお前らしく気楽に頑張れ」
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