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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第2章 神隠しの行く末
 そして何より、それを悦んでしまう自分がいる。瞬きの間にそのおぞましい光景が頭の中に思い浮かんで、少女は理性を振り絞って声を上げた。
『──いやああぁぁッ!! 誰か──』
 ──誰か助けて。
それを言葉に出来たかどうか分からない。ただ口から吐き出された泡の塊の向こうから一際明るい真白の光が射し、直後──
「──手を伸ばせ!!」
『……!』
凛と張った、青年と思われる年ほどの声がその光の中から聞こえて、少女はすがるように……光に向かって、指先を伸ばした。



【3】

 力強く手首を掴まれ、少女が引き上げられた先は白砂の砂浜だった。
 少女はその勢いのまま、自身を救ってくれた何者かにもつれ合うように砂の中に転がる。
「けほっ、……げほっ! ……はあ、……ゴホッ」
意識よりも早く地上に出たことを感知した体は、思い出したように水を吐いて酸素を求め、呼吸を荒げた。
 「──おいおい、大丈夫か?」
「ごめ……、ごめん、なさ……っ、コホッ……」
地に突っ伏し、何とか息を落ち着けようと口元を抑える少女に、先程とは別の声が上から投げ掛けられる。
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