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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第6章 巫女として
 「お前、神依にはまだ色々話してないんだな」
「お伝えする必要が無いものに関しては今日以降もお伝えする気はございません。あの方は……神依様は、水のように奔放であった方が魂が美しく輝けるお方なのだと判じました。しかし水は流れるもの。それを縛ることは、私には致しかねます」
「だけどな、だからってお前が諦める必要は無い。お前達“禊”の前でああいう話するのは……すまねえと思ってる。でもだからって……諦めんなよ」
 その神の言葉に、驚いたようにふっと顔を上げたのが童だった。
 それはまさに、以前自らが口にした言葉そのもの。……主がまだただの少女だった、最後の夜に兄貴分に伝えた言葉だったからだ。
「さ……猿彦様は、一ノ兄にも機会を下さるのですか」
「一ノ弟!!」
「……っ」
おそるおそる口を開くも、禊の余りに鋭い威喝に童は押し黙り身を竦めてしまう。が、それを庇うように深緑の袖が童の頭を優しく滑った。
「……お前の弟の方が、よっぽど分かってそうだな」
「いえ……もういいのです。その御言葉だけで、御慈悲は過分に頂戴致しました。私はあの日、白砂の浜で主が御令孫のお召し物を抱いていた時からとうに理解はしていたのです。心も既に、固まりました」
「……」
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