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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第6章 巫女として
 「……その態度がもはや答えを述べているに等しいことに気付かぬか」
「……」
冷俐な眼差しと唸るような声に、洞主はごくりと唾を呑む。
「神か人か、いずれが先に堕ちたのかを論ずる気は無い。
だが今の神々に憤りを持つお前ならば、巫女についても等しく現状を承知であろう。今はもはや、淡島の巫女達は形骸化して永い時を生き飽いた神の一夜の娯楽……遊女(あそびめ)となっている。
そして神性を失った巫女達もまた、自分を抱く神々のあらゆる優劣を競い、優越感や嫉妬に興じては目に見える愚かで安易な欲望を満たすのみ──」
「それとあの子に……神依に何の関係があるのです。故にこそ私は、淡島では神々と縁を結び、愛される者こそ幸いだと既に申し伝えております」
「……確かに巫女となった以上、いずれはあれも天降る男神と肌を重ねることになろう。だがあの名では、悪戯に神々に肉を貪らせその身を削るものになる。そしてそれは、他の女達の浅ましい怨嗟を依り憑かせることになるだろう。……あの娘がそれに耐えられるとは思わぬ」
「それは……」
「儀式が終わるまではいい。あの名なればこそ私が依りその加護を与えよう。蛟の魂にも添うて神を成してもらう。だがその後は名を変えるよう、根底の女神に進言せよ」
「……」
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