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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第6章 巫女として
【3】

 神依が奥社を出たのは、それから五日経った日の夜だった。祓など諸々の儀式を終え、明日からは淡島の巫女として生きていく。
 「洞主様──いっぱい優しくしてくれて、ありがとうございました。それから……いっぱい心配掛けてしまって、ごめんなさい」
「なに、そなたはもうそういうものだと逆に腹が据わり申した。それに御令孫から頂いた話もある──もう会えぬ訳ではないのだから、元気をお出し」
「はい……」
少し沈んだ顔で頷く神依に、洞主は慰めるようにその頭を撫でる。その手を追って少女の頭に駆け上る小龍の鼻先をくすぐってやれば、それはプルプルと頭を振って逃げ出し再び腕に巻き付いた。
 「しかし参った──よもや御令孫があのような物言いをなさるとは」
「はあ……」
「こんなことを聞くのはそなたには酷かもしれぬが……踏み止まれそうかえ」
「はい。今は……まだ、平気です。ありがとうございます」
「うむ……、何かあったらすぐにお言い。私にできることは少ないが、それでも居ると居らぬでは多少場の空気も変わりましょうて」
頷く少女は少し頼りなく、洞主もまた力無く差し伸べていた手を下ろす。
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