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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第6章 巫女として
 これからせっかく新しい生活が始まるというのに彼女が気鬱な顔をしているのは、日嗣の下した役目以上に──御霊祭に携わるべく、既に準備を進めていた奥社の巫女らとの関係が予想を遥かに越えて重苦しく、厳しいものだったからだ。
 洞主に連れられ他の巫女達に面通しさせられたその日から、神依はあからさまな敵意を五感で感じることになった。
 それでも洞主が事前にかなり言い含めてくれてあったようで、ましはましなのだと思う。
 しかし──
「──だから、何度言ったら分かるの? どうして見せた通りにできないの? 朝から何回同じことを繰り返してると思うの、いい加減にして!」
「やる気あるの? あなた、あの蜥蜴のおかげで御令孫にお声掛けしていただいたそうだけど──それでいい気になってるんじゃない?」
「本当、私達がどれだけの思いしてここにいると思ってるのよ……。普通は分不相応だと断るわよ。何だか水蛭子って年々厚かましくなってると思わない?」
(うん……これはあまりにも、分かりやす過ぎない?)
と、洞主がいない時を狙っては繰り返される集中的な言葉の砲火と視線の刃に、歓迎される雰囲気など微塵も無かった。
(友達……できなさそうだなぁ)
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