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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第6章 巫女として
そんなわずかな期待も初日数分で失せ、神依は一人正座して、お説教らしきものを聞き流しながらこの数日を過ごしていた。

 「──顔をお上げ、神依」
「あ……はい」
洞主の呼び掛けに我に返った神依は、言われた通りに洞主を見上げる。自分がそうであるように半歩後ろに大兄を従え、二人の顔を交互に見れば、二人は神依を励ますように穏やかな笑みを口元に浮かべた。
 「儀式が終わるまでは辛きことも多かろうが、せめて日々の暮らしだけはつつがなきよう私も祈っておる」
「大弟、童。お前達も承知しているとは思うが、お前達の此度の姫御は巫女としての才はもはや格別。大弟、お前は禊としてその足元をしっかりとお支えしろ。童は出来る限りの手助けをしてやってくれ。そして日々を誠実に……励め」
「はい」
「はい!」
そうして幾ばくかの不安と共に、神依と禊、童は洞主と大兄に見送られ、もう慣れ親しんだ仮宿と奥社を後にした。
 明日からは稽古通いをしなければならないが、せめて家でだけはのんびり過ごそうと童は神依を気遣い、新たな住まいの話で場を盛り上げる。
 「──あ」
「? いかがなさいました」
「ううん──何でもない。ただ……」
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