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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第6章 巫女として
そしてあの大社の前まで来た神依は、一度立ち止まり今は灯と篝火、月明かりに照らされた社を見上げる。
 「……禊の言ってたこと、全部本当だったよ」
「はい?」
「言ったでしょう? 私がここに来た時──自分は捨てられたとは思わなかったって。私もようやく分かったの。お母さんは私達のこと、忌み子だなんて思ってない。……大事にしてくれてたんだって」
「……左様ですか」
 その言葉の価値を、おそらくこの主は理解していない。ただ──それを教える必要もまた、無いような気がした。
 神依はにこりと笑って社に向かい一度頭を下げると、禊を促し歩き始める。
 そして社の前に真っ直ぐに伸びた白石の道を、今日は自分の足で逆に辿り──
「わあ……!」
その道を抜けた先……石畳と小川、そして植物でできた広場を視界一杯に映すと、声を上げて駆け出した。
 「すごい……! 花がたくさん! 季節が混ざってるみたい……!」
広場は何かを供える東屋のような社を中心に石畳が敷かれ、その間を何本もの小川が縦横無尽に通っていた。一応歩く路(みち)や橋は確保されてはいたが、その水筋はある所では池となり、またある所では小さな滝となって雲海へと落ちていく。
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