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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第6章 巫女として
(……明日からは、もっとちゃんとしなきゃ)
 そう思いながら石を渡り終えると目隠しのように小さな竹林があり、その間の細い道を抜けた先が家屋だった。
 申し訳程度の門、素朴な竹垣。庭には水が湧く池があり鯉が泳いでいた。仮宿と似ている。庭木も季節ごとのもので、その足元で所々に夏草が群れる。
 棟は小さいがそこには既に灯が点されていて、空気が橙色に染まっていた。気後れしない、温かみのある──神依の好きな雰囲気。
 「あまり華美なものはお好みにならないだろうと思って選ばせていただいたのですが」
「うん、すっごく気に入った。ねえ禊、お風呂は? 温泉!」
「家の奥手に少し下る道がありますのでそちらから。ですが──ここで何をもする前に、貴女に巫女としてお会いになっていただきたい方がいらっしゃるのです」
「え……?」
そう言って、禊は庭の一番奥へと神依を導く。島の淵。
 こちらにも竹垣が造られていたが、その角には時を重ねていびつに、粋に伸びる梅の木と……石垣で積み上げられた、小さな祠が佇んでいた。
「屋敷神にあらせられます」
「……神様がいるの?」
神依が問うと、禊が答えるよりも早くその小さな祠の扉がキイッと音を立てて開く。
「……!?」
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