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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第6章 巫女として
「ねずみなんて言ってごめんなさい。鼠軼様、鼠英様。私は神依といいます。これからこのお家に住まわせていただきます」
「んむ、善きかな。巫女なれば、家の繁栄と子宝の利益を授けよう」
鼠軼は尾で巻いた珠をその小さな手で撫でる。珠の中で光が揺らぎ、たったそれだけで本当に神様の加護があるように神依には思えた。
「ねえ禊。童の言ってた通り──淡島には本当にたくさんの神様がいるんだね」
「はい。この家は長らく私達の拠り所となることでしょう。どうぞご自身の御心が満足するまで、神に護られたこの住まいにて巫女としての生き方、在り方を模索なさって下さい」
「うん──わかった」
日嗣や猿彦とも異なる神の姿。見えなくても在るのだろう淡島の神々の存在を実感した神依は、改めて新居を見渡す。
まだ未熟な自分には分からないが、禊がこの家を選んだのはそういうことを教えてくれるためだったのかもしれない。
「禊、童。今日まで、大事なことをたくさん教えてくれてありがとう。──また改めて、よろしくね」
「はい」
「なんかそう言われると、照れるけどな」
また新しい生活が始まる。ただ、今は……流されてきた時とは異なり、神依はようやく少し、生きる力を手に入れていた。
「んむ、善きかな。巫女なれば、家の繁栄と子宝の利益を授けよう」
鼠軼は尾で巻いた珠をその小さな手で撫でる。珠の中で光が揺らぎ、たったそれだけで本当に神様の加護があるように神依には思えた。
「ねえ禊。童の言ってた通り──淡島には本当にたくさんの神様がいるんだね」
「はい。この家は長らく私達の拠り所となることでしょう。どうぞご自身の御心が満足するまで、神に護られたこの住まいにて巫女としての生き方、在り方を模索なさって下さい」
「うん──わかった」
日嗣や猿彦とも異なる神の姿。見えなくても在るのだろう淡島の神々の存在を実感した神依は、改めて新居を見渡す。
まだ未熟な自分には分からないが、禊がこの家を選んだのはそういうことを教えてくれるためだったのかもしれない。
「禊、童。今日まで、大事なことをたくさん教えてくれてありがとう。──また改めて、よろしくね」
「はい」
「なんかそう言われると、照れるけどな」
また新しい生活が始まる。ただ、今は……流されてきた時とは異なり、神依はようやく少し、生きる力を手に入れていた。