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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第7章 兆し
──とますます分からなくなって、結局は様子見ということになった。
いずれにしても良い石にさわれると童は喜んでいるし、童が出入りする玉造府の方からはそれを下賜して欲しいと通達が来て、神依が気に入ったものと童が欲しそうにしていたもの以外は禊がまとめて送っている。
そんな石を箱に並べながら、ある晩、童が神依に問うてきた。
「……なあなあ神依様、神依様が一番好きな色って何?」
「好きな色? うーん……」
せっせと舞の自主練習に勤しんでいた神依は、手にした神楽鈴をしゃんしゃんと鳴らしながら考える。
神楽鈴は一本の柄の上部に、上から三・五・七と三段に鈴が並べられた巫女舞に使う神具だった。更に神依の持つものは柄から五色の布がひときわ長く長く垂れており、それが神の正面に立つことを許された一の座を表している。
それを無闇に鳴らしていたことを禊に戒められ、怒られちゃったと童の傍らに座れば童は真剣な眼差しで神依を見上げてきた。
あまりに一生懸命だったのでどうしたのだろうと思いつつ、手元の箱を覗けば花を詰め込んだような鮮やかな色彩。
「うわあ、みんな綺麗。特に嫌いな色は無いし、みんな好きだよ。どうして?」
「っな、何でもない!」
「え?」
いずれにしても良い石にさわれると童は喜んでいるし、童が出入りする玉造府の方からはそれを下賜して欲しいと通達が来て、神依が気に入ったものと童が欲しそうにしていたもの以外は禊がまとめて送っている。
そんな石を箱に並べながら、ある晩、童が神依に問うてきた。
「……なあなあ神依様、神依様が一番好きな色って何?」
「好きな色? うーん……」
せっせと舞の自主練習に勤しんでいた神依は、手にした神楽鈴をしゃんしゃんと鳴らしながら考える。
神楽鈴は一本の柄の上部に、上から三・五・七と三段に鈴が並べられた巫女舞に使う神具だった。更に神依の持つものは柄から五色の布がひときわ長く長く垂れており、それが神の正面に立つことを許された一の座を表している。
それを無闇に鳴らしていたことを禊に戒められ、怒られちゃったと童の傍らに座れば童は真剣な眼差しで神依を見上げてきた。
あまりに一生懸命だったのでどうしたのだろうと思いつつ、手元の箱を覗けば花を詰め込んだような鮮やかな色彩。
「うわあ、みんな綺麗。特に嫌いな色は無いし、みんな好きだよ。どうして?」
「っな、何でもない!」
「え?」