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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第7章 兆し
童は慌てて蓋を被せバタバタと自身の部屋に駆けていってしまう。そして神依に水菓子(くだもの)を運んできた禊にぶつかりそうになってやはり怒られ、禊はそれを見送ると密やかに神依に告げた。
「──おそらく勾玉でしょう。石をお届けに上がった際に、あれが従事する玉造の匠と少しお話させて頂きましたので」
「あ……。そっか、覚えててくれたんだ」
その禊の言葉に、神依は湯殿での約束を思い出す。
「突然に贈り物をし、驚かせようとしたのでしょう。子供と同じです」
「じゃあ、あなたが私に話したことも内緒にしないとね。ん、甘ーい」
そうして早物のぶどうの粒を摘まみ童を呼べば、童はばつが悪そうな笑みで戻ってきて神依の隣に座る。童が甘いものを本当に嬉しそうに、大切そうに食べるのを、奥社にいた頃から神依もちゃんと気付いていた。
仕事の対価として与えられる米を禊に預けていたのも一度だけ目にしたし、だから、ここに来てすぐ──
「──あのね禊。新しい家になったから一つ、お願いがあるの」
「何でしょう」
「ご飯、三人で一緒に」
「食べません」
「で……でも──だって、どうせ三人しかいないんだからいいでしょ? 童も何を食べてるか気になるの、まだ小さいんだから」
「──おそらく勾玉でしょう。石をお届けに上がった際に、あれが従事する玉造の匠と少しお話させて頂きましたので」
「あ……。そっか、覚えててくれたんだ」
その禊の言葉に、神依は湯殿での約束を思い出す。
「突然に贈り物をし、驚かせようとしたのでしょう。子供と同じです」
「じゃあ、あなたが私に話したことも内緒にしないとね。ん、甘ーい」
そうして早物のぶどうの粒を摘まみ童を呼べば、童はばつが悪そうな笑みで戻ってきて神依の隣に座る。童が甘いものを本当に嬉しそうに、大切そうに食べるのを、奥社にいた頃から神依もちゃんと気付いていた。
仕事の対価として与えられる米を禊に預けていたのも一度だけ目にしたし、だから、ここに来てすぐ──
「──あのね禊。新しい家になったから一つ、お願いがあるの」
「何でしょう」
「ご飯、三人で一緒に」
「食べません」
「で……でも──だって、どうせ三人しかいないんだからいいでしょ? 童も何を食べてるか気になるの、まだ小さいんだから」