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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第7章 兆し
 結局今度の御霊祭では三人で巫女舞を行うことになったのだが、その三人も日常的に組む三人がいて、そこに神依がぽんと入れられたものだからどうしても一人抜けなければならない。
 その一人は最も舞を得意とし、外から神依の所作を指導するよう教育役として外されたのだが、外されたこと自体がもう気に入らない。残りの二人は、では自分達はこの新参と並べられる程度の器なのかとそれが気に入らない。
 彼女達は彼女達自身の力でその場所を手に入れた。しかし神依は違う。けれども神依はまたそれも理解し、だからこそ黙したまま稽古に向かい、少しでも彼女らに近付けるよう励んでいる。
 だが──そうであったとしても、易々と受け入れられるはずがない。
 日嗣の存在もまた、少なからず彼女達を結託させる要因になっているのだとも禊は思っていた。
 今まで数人の巫女を采女として高天原の神々に送った経験のある禊は、彼女達の“嫉妬”──という感情を、嫌というほどに見知っていたのだ。
 天孫──故に極上の神格と魂を持ち、居丈高で近寄りがたい、何にも心を動かさなかった美しい男神が求めた少女。
 しかし嫉妬という膜が張られた瞳には、それはまた違うものにも見えた。
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