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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第7章 兆し
 結局神は、神たる害悪と加護にしか干渉できないのだ。
 よもや自身が求めた巫女に手を出すような愚かな神もいないだろうと、日嗣は天孫という立場を利用して神依を取り立てた。そうすることで他の男神の邪な思いを依り憑かせぬよう──女としての身と心が傷付かぬよう、護ったつもりだった。
 しかしそれが逆に人の妬み嫉みを生み、神依の人としての身と心を傷付けることになってしまった。
 それに……名前のこともある。そもそもあれが、間違いだったのではないだろうか。
 「また……俺のせいだろうか」
意図した訳でもなく漏れ出た日嗣の言葉に、猿彦は視線を友に戻す。
「……神様だって万能じゃねえ。どっかを引っ込めればどっかが立つさ。お前は今の巫女達と神の関係を嫌ってるから、そっちをどうにかしてやりたかったんだろ。神依はそういうの、何も知らねえみたいだったからな。後は人の世の問題だ」
「だとしても……だ」
「……もしお前のせいだけなら、神依だってとっくに自分には無理だって断ってるさ。だけどそうしないのは、神依も全部分かってるからじゃねえのか。今も大変な思いして頑張ってるのは、別にお前のせいでもお前のためでもねえ。だと思うならそれは、お前の天孫としての思い上がりだ。
いいか? “お前のため”じゃなくて、あの“水霊のため”だ」
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