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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第7章 兆し
 今ばかりは傍らの神の友として……その一本の水の糸が天と地を結んでくれるようにと、心の中で密かに祈った。



【4】

 その日は、朝から雨が降っていた。
「──よろしいようですね。万が一ということもございますから。……動き辛さや、違和感はございませんか?」
「うん……ありがとう」
神依は右肩に当て布をされた衣を纏い、うつ向くように頷く。
 布を増やしたのは、以前水に透けてしまったことのある日嗣の朱印を隠すためだ。外からは分からないよう、内側に透けにくい布を当てて禊が仕立て直してくれた。
 なぜ日嗣や禊が同じ文言でこれを秘めたのか、今の神依には簡単に理解できる。日嗣に求められることの意味を、あの時の自分は正しく理解できていなかったのだ。
 否、今も全てを正しく理解している訳ではない。ただ淡島の巫女という存在に取って、彼がどれだけ特別であったかは……もう嫌と言うほど理解させられた。
 自分がどれほど天孫に相応しくないかという話を、手を替え品を替えよく吹き込まれた。そしてついに、真っ向から問いただすには余りに過酷な……性を貶め、辱しめる内容まで出てきた。
 けれど誰もが、それを直接は言ってこない。そういう話は風に乗せて、空気に混ぜて。
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