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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第7章 兆し
 直接言えば、洞主や……それこそ日嗣や猿彦に告げ口されると思われているらしい。
 だがそのせいで、洞主や神たる猿彦まで悪く言う者まで出てきてしまった。
 “──お前、俺が怖くないのか?”
 かつて問われたそれが何を意味するか日嗣と並べられることで分かって、更に“穢れた”自分を日嗣に近付けた禍津神だと言う者までいた。
 それがやるせなくて、そうじゃないと神依が否定すればするほどに、美しい声が発する言葉は真実からはかけ離れていく。
 やがて進貢に捧げる椿の花へは、哀しい謝罪の言葉が依りつくようになった。
 その進貢の間でさえ腕の子龍を貶され、手にした小さな花を嗤われる。さりとて鮮やかなものを摘もうとすれば、それは禊に止められた。
 分かっている。分かってはいるけれど──手のひらにある、小さなものを蔑まれるのは心が痛んだ。雑草だと罵られるのは、悔しかった。
 それは確かにまだ小さいけれど、神依が淡島に流れ着いてからずっと神依の心の中にある存在だった。繋がってきた縁だった。培ってきた絆だった。
 彼女達だって、きっと流れ着いた頃はそれを覚えていただろうに──。
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