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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第7章 兆し
 それが見下される度に、体の奥で何かが……ねじ切られんばかりにみちみちと音を立てて、ひしゃげていく気がしていた。
 それはとても痛くて、平気な振りをしても、水滴が溜まるように、塵が積もるように、どうしようもない切なさを心の器に溜めていく。それを朝までに空にするように、夜、布団の中で思い出しては音も立てず泣いたこともあった。けれどそれは結局、自分がいかに孤立しているかをまざまざと思い知らされるだけだった。

***

 「……じゃあ、いってきます」
「はい。今日は夕刻まで雨のようですから、もし外に出るようなことがありましたらお気をつけ下さい」
「うん。……、いろいろ……心配かけて、ごめんなさい……」
「……そのお言葉は、今更です。もう慣れました」
「……うん」
そのひねくれた物言いに力無く笑む主に、禊もそれ以上の言葉も無く見送る。具合が悪そうに見えた。
 だが奥社にいる時を含め、一ヶ月あまり──神依は何とかぎりぎりで持ちこたえ、ようやくここまで来ることができた。御霊祭ももう目前で、段々と稽古も本番に似せて行われるようになってきた。
 だが──相変わらず、巫女達との関係は芳しくない。
 いや、今になって思えば最初の方がどれだけましだったろうと思う。
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