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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第2章 神隠しの行く末
「や……やめ……」
「何故? この見てくれだ、不満は無かろう。事実、それを望んで近付いてくる女は山程に居る。……その中で、お前を選んだとしても?」
「そんな……そんな。でも──っ痛…」
言葉端と共にあの首筋の紋が疼いて思わずそこを押さえれば、熱を帯びてズキズキと脈打っていた。
「う……」
 これが何か良くないものだというのは分かるが、少女にはどうすることもできない。放っておいたらどうなるかも分からない。
 でも──それでも。
 「ゆ……許して……下さい」
確かに、こんなにも非の打ち所の無い男に求められるならば、拒みきれる乙女はどれだけいるだろうとも思う。けれどもそこには、少女が願うような感傷は何一つ伴わない。
 切なくなるような、満ち足りていくような……甘くて、楽しくて、怖くて、悲しくて、嬉しくて……。
それをどういう言葉で表現していたのか、記憶にぽかりと穴が空いてしまったかのように言葉は出てこなかったが、……男の言っていることが、“間違って”いることだけは分かった。
 「……ごめんなさい……」
少女の沈黙の後、ややあって男が口を開く。
「──己が外見だけで男に靡くような浅ましい愚か者でなかったことを、育ての親に感謝するがいい」
「え……、えっ?」
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