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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第2章 神隠しの行く末
肩を押さえていた手に、それよりも大きな手が重なる。そしてその言葉の意味すら理解する前に顎を引かれ、少女は抵抗する間もなく眼前に迫る男に唇を捧げてしまった。
「ん……っ、……!?」
 少女は反射的にそれを押し留めようと男の胸に手を遣る。しかし男はまるで意に介さず、少女の感触を味わうように角度を変えながら触れるだけの口付けを重ねてきた。
 男はもう少女を惑わす甘やかな態度を持たず、あの人ならざる者の空気を纏っている。故に拒絶の言葉すら吐かせてはもらえない強引さと物足りなさに、少女の思考は混線し体は硬直してしまった。だがそれに反し、内側ではたまらなくむず痒いような感覚がわき起こる。
(私──私、どうして)
何故これほど立て続けに目的も分からぬ欲に求められているのか……考えようとしても男の唇に阻まれそれすら立ち行かない。
 やがて舌が割り入れられるようになると、少女は自然と目を閉じ体の力を抜いた。
 自分の中を──体でも心でもないもっと深くを男に探られているような気がして、またそれが心地好い。獣(けだもの)に踏み荒らされ、めちゃくちゃにされてしまった自身の中の大地が少しずつ均され、小さな緑が息吹を始める。そんな柔らかくて、あたたかいもの。
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