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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第7章 兆し
急に神妙な表情になって声を忍ばせる大兄に、神依は不思議そうにその続きを待つ。
「……大兄さん?」
「……今ならまだ間に合う。もしもご負担が大きければ、俺から玉衣様に申し伝え、今回の役は辞退すると──何とか御令孫に御納得頂けるよう、取り計らうこともできよう。……此度の祭祀は進貢の広場で行うことが決まってな。神も人も、見守る者は多いだろう。……神に救われ、大弟に守られる御身はまだ……純だ。そして、美しい。みすみす、好色な男神達の見せ物になることはない」
「大兄さん……」
その──多分、洞主の名代ではない──“禊”としての物言いに、神依は自らの禊を思い出しほんの少し口をつぐむ。
 しかし……それは、考え悩むべくもない問題だった。
「……ありがとうございます、大兄さん。今の私には、その言葉だけで救いになります」
「では──」
「……いいえ。御霊祭には、出ます。
確かにもう時間は無いけど……そのちょっとの時間でも、きっと舞は今より上手くなると思います。そうしたら、本番では自分に出来る限りの舞を見せて……私を求めてくれた神様の魂が安らぐように、頑張ろうと思います」
「……」
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