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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第7章 兆し
 やがて神依は指先で五色布をすくい、鈴を掲げた。
「……」
 ──しゃん、と。
 雨の気配に滲む空気を、涼やかな鈴の音が瞬き震わせる。
 それは今ばかりは、目の前に在る男神ただ一人だけのために。
 雨と風の音、鈴の楽。足元の木が水面に浮かぶ小舟のような音を奏で、衣(きぬ)が触れ合う音がさらさらと流水の余韻を残す。
 たった一人の乙女が、たった一柱の神のために捧げる舞。それはどのような御饌(みけ)や宝よりも清浄で、贅沢なもの。
 ──しゃん、しゃん。
 しゃららら……。しゃらしゃら。
 鈴が音を奏でる度、日嗣の内奥で……その神威が騒ぎ始める。小波一つ無い水面に、玉水が落ちるように。灼かれた大地が潤い、萌芽を促すように。
 心よりもっと深くに添い、その芯を震わせてくる巫女の舞。
 隣にちょこんと座っていた子龍が、気持ち良さそうに目を閉じる。
 それを見て……大丈夫だと自身も倣えば、巫女もまた一枚、衣を脱ぎ去るように魂を開く。
 (……)
そうして日嗣が視界を閉じた先の世界は、暗い淀の中だった。
 しかしその中に一粒、水晶のような小さな雫が落ちて震えている。何か黒い、どろどろとしたものがそれを呑み込もうとしている。
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