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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第7章 兆し
「……俺の神としての魂は……灼熱の風に焼かれた大地のようだと言う者がいた。……けれどそれは、日の威光のせいでますますに干からびていく。……無論、生物が生きるのに日は必要だろう。だがそこへ投げられるのは豊んだ肥料ばかりで、俺が求めるものは一滴も与えられない」
「……」
日嗣の横顔を見上げていた神依は、どこかで同じような感覚を得た気がして抱き抱えていた膝を更に体に寄せる。
 それと同時に頭の中で繰り返される、日嗣の声によく似た別人の声。
 ──何故私は、愛しい妻をただ一人の子に変えねばならぬのか。
 体の奥できしきしと痛む、地が水を失い、渇き、細いヒビが入っていくような感触。それは……寄り添うものを失った者の悲しみと心細さ……底知れぬ孤独感だった。
 「……」
しかし神依は、その根源が愛情であったことを知っている。
 (なら……、日嗣様は、やっぱり──)
──けれど、それを口にするのは怖かった。受け入れてはいけないことを、日嗣自身の口から語られるのは……嫌だった。
 再び窺うように見上げれば、日嗣は何か考えるように遠くの空を眺めていた。
「……日嗣様……?」
「俺は正直……その魂を持て余している」
「……」
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