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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第7章 兆し
「たまにどうしようもなく、どうしていいか分からなくなる時がある。ああして……荒ぶらせてしまうことがある。それを、彦にはまだ青臭いガキだと笑われる。……あながち間違っていないのが、また腹立たしいが」
「……ふふっ」
「……何故お前が笑う」
「やっぱり、仲良しなんだなあって」
「……」
眉をひそめ怪訝そうな顔をする日嗣に、神依もようやく笑顔を見せる。
てっきり日嗣がいない場での軽口かと思っていたが……まさか本人にも言っていたとは。
そういう関係は羨ましいし、ずるいとも思う。けれどそれを自分にも言ってくれたことが──嬉しかった。
しかし日嗣は、猿彦と神依が何を共有したか知らない。それに不服そうに目を反らすと、意味なく向かいの壁を眺め、呟いた。
「……お前は、俺のことをどこまで知っている?」
「え?」
「……あれは」
「……?」
「いや……お前の禊は何も語らぬだろうな。……よくできている」
「……」
神依は抱いていた膝を下ろし、足を崩す。壁に話すように語る男に、何を求めているのか自ら問う勇気は無かった。
だが、日嗣はそれを責めることをせず……代わりにどこか痛みを帯びた笑みをふと浮かべ、それを隠しもしないで神依の体に寄りかかった。
「……ふふっ」
「……何故お前が笑う」
「やっぱり、仲良しなんだなあって」
「……」
眉をひそめ怪訝そうな顔をする日嗣に、神依もようやく笑顔を見せる。
てっきり日嗣がいない場での軽口かと思っていたが……まさか本人にも言っていたとは。
そういう関係は羨ましいし、ずるいとも思う。けれどそれを自分にも言ってくれたことが──嬉しかった。
しかし日嗣は、猿彦と神依が何を共有したか知らない。それに不服そうに目を反らすと、意味なく向かいの壁を眺め、呟いた。
「……お前は、俺のことをどこまで知っている?」
「え?」
「……あれは」
「……?」
「いや……お前の禊は何も語らぬだろうな。……よくできている」
「……」
神依は抱いていた膝を下ろし、足を崩す。壁に話すように語る男に、何を求めているのか自ら問う勇気は無かった。
だが、日嗣はそれを責めることをせず……代わりにどこか痛みを帯びた笑みをふと浮かべ、それを隠しもしないで神依の体に寄りかかった。