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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第8章 神として
「間に合って良かった。……丸いのや、小さいのは俺の世話してくれる匠が造ったんだけど、真ん中のは俺が磨いたんだ」
「……童」
促されて箱を開ければ、透き通る水色の玉と三つの水晶の勾玉が連なる一本の首飾りが入っていた。
(……あれ?)
しかしよく見ると、童が磨いたという中央の一回り大きな勾玉には亀裂が入っている。まさか割れてしまったのだろうか……とそっと手に取り角度を変えれば、
「──わあ……」
その亀裂に沿って、とぷりとした七色の光が煌めいた。
「中に虹が入ってる!」
童を見れば得意気に笑い、それから照れ隠しのように頭をかく。
「好きな色、分かんなかったから……。あのさ、神依様は覚えてないかもしれないけど……俺、湯殿で約束したから」
「……ううん。ちゃんと覚えてるよ。童も覚えててくれたんだね」
「……」
嬉しかったから、と喧騒にかき消えそうな声で呟く童に、神依は思わず身を乗り出し抱き付いてしまう。それを禊に怒られまたお説教をされながら支度を調えてもらったのだが、禊は何も言わず衣の下にそれを着けてくれた。
 毎日毎日……神依が眠るのを待っては眠り、神依が目を覚ますのを待たずして目を覚まし、尽くしてくれた少年。
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