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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第8章 神として
普段、淡々と完璧に仕事をこなす禊が少し残念そうに見えて、“禊”という存在に取っても自身の巫女が表舞台に立つというのは特別なことなのだと窺える。
「──あのね、禊」
「はい?」
「私……まだ頼りないことだらけだし、馬鹿だから、きっと気付かないことあるかもしれないけど……」
「……?」
「でも、私のことを一番助けてくれたのは禊だと思う。きっとそれは、これからも変わらないんでしょう? だから……私、頑張るね。禊の気持ちが無駄にならないように……一番下手かもしれないけど、一番カッコ悪いかもしれないけど、でも今までで一番綺麗に舞うから。見てて」
「……はい」
鏡の中の青年はその短い言葉と共に眉に、目に、頬に、唇に優しく笑みを刻む。
それに応えるように神依もまたにっこりと笑い、巫女となり、初めてその衣に身を包んだあの日のように──たくさんの気持ちをこめて、あの日と同じ五文字を贈った。
***
そうして神依は八尋の大社にて他の巫女達と一緒に式前の神事をこなし、舞台となる進貢の広場に向かった。
準備を進めるうちに夜明けは過ぎていたが、それでもこの天気のためか外は白々としながらもどこか薄暗い。
「──あのね、禊」
「はい?」
「私……まだ頼りないことだらけだし、馬鹿だから、きっと気付かないことあるかもしれないけど……」
「……?」
「でも、私のことを一番助けてくれたのは禊だと思う。きっとそれは、これからも変わらないんでしょう? だから……私、頑張るね。禊の気持ちが無駄にならないように……一番下手かもしれないけど、一番カッコ悪いかもしれないけど、でも今までで一番綺麗に舞うから。見てて」
「……はい」
鏡の中の青年はその短い言葉と共に眉に、目に、頬に、唇に優しく笑みを刻む。
それに応えるように神依もまたにっこりと笑い、巫女となり、初めてその衣に身を包んだあの日のように──たくさんの気持ちをこめて、あの日と同じ五文字を贈った。
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そうして神依は八尋の大社にて他の巫女達と一緒に式前の神事をこなし、舞台となる進貢の広場に向かった。
準備を進めるうちに夜明けは過ぎていたが、それでもこの天気のためか外は白々としながらもどこか薄暗い。