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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第8章 神として
 (……私……こんなに嫌われていたんだ……)
何が起きたかようやく理解した神依は、ただそれだけを思った。
 ようやく、ようやく理解した。
 自分は始めからあの巫女達の誰にも受け入れられておらず、全てが始めから“違っていた”のだ。
 神依はただ、一つの舞を一生懸命覚えた。毎日怒られながら、それでも神楽殿に通って、家でも禊や童に当たってまで練習した。でもそれも全部最初から“違っていた”のだ。
 結局三人の舞巫女も、楽を奏でる巫女達も、始めから神依を舞わせる気など無かった。
 稽古で教えられた舞と本番で行う舞は……最初から別物だったのだ。
 いや──それは少し違う。本来は、あの舞こそがこの御霊祭で舞われるべき舞だったのだろう。でなければ、洞主らが稽古の時点でいぶかしむ。
 ただ自分を憎む巫女達は、裏で密かに結託してこうすることを選んだ。それは今日まで、こつこつと稽古に励み自らの手でその地位を得てきた彼女達だからこそ、成し遂げることができた──復讐だった。
 彼女達は本番でまったく違う楽と舞を披露し、もちろん舞うことなどできる筈もない神依を「本番で失態を演ずる無能な巫女」として公衆に──日嗣の前に晒すことを、選んだのだ。
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