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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第8章 神として
【3】
──その直後、天地を裂く稲妻が走り淡島を凄まじい突風が駆け抜けた。
「──…!?」
唐突にわきあがるどよめき。その中で、日嗣はばっと空を見上げた。
雨空は一層翳り、糸筋のような雷を宿した雲が、蛇のように渦を巻いている。その雲は雨雲を喰らい、その中に埋もれていた太陽を隠し、八衢ごと朝と夜を混ぜたような黒い光で空間を包み込んだ。
それだけではない。足元では地が揺れ、広場を流れる小川の水が一斉に荒ぶって石畳を呑み始める。
乾坤は共鳴するように震え、草木はざわめき、立っていることすらままならない。
再び空で鳴る轟雷に、観客達の間に更なる悲鳴が沸き上がり、皆一斉に地面に伏せた。
そして境界を成していた注連縄が裂かれ、一直線の炎となって空を舞い塵となって消えた瞬間──まるで神依を目にしたように、凄まじい風が巻き起こった。
それは唸り声を立てて広場中の水を巻き上げると、草花をむしり木を薙ぎ倒し、その土を削るように地を這いずる。
「な……ッ」
それはまるで……一匹の、巨大な荒ぶる龍だった。
水で成った形の定まらぬ龍は、痛みに暴れるように広場の上をのたうちまわる。
──その直後、天地を裂く稲妻が走り淡島を凄まじい突風が駆け抜けた。
「──…!?」
唐突にわきあがるどよめき。その中で、日嗣はばっと空を見上げた。
雨空は一層翳り、糸筋のような雷を宿した雲が、蛇のように渦を巻いている。その雲は雨雲を喰らい、その中に埋もれていた太陽を隠し、八衢ごと朝と夜を混ぜたような黒い光で空間を包み込んだ。
それだけではない。足元では地が揺れ、広場を流れる小川の水が一斉に荒ぶって石畳を呑み始める。
乾坤は共鳴するように震え、草木はざわめき、立っていることすらままならない。
再び空で鳴る轟雷に、観客達の間に更なる悲鳴が沸き上がり、皆一斉に地面に伏せた。
そして境界を成していた注連縄が裂かれ、一直線の炎となって空を舞い塵となって消えた瞬間──まるで神依を目にしたように、凄まじい風が巻き起こった。
それは唸り声を立てて広場中の水を巻き上げると、草花をむしり木を薙ぎ倒し、その土を削るように地を這いずる。
「な……ッ」
それはまるで……一匹の、巨大な荒ぶる龍だった。
水で成った形の定まらぬ龍は、痛みに暴れるように広場の上をのたうちまわる。