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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第8章 神として
その花の女神の父である山の神は、三人の子の誕生をいたく喜び……自ら醸した酒を振舞い祝いを催した。
だが……以来、日嗣はその豊葦原の歴史に名を連ねることは二度と無かった。
その存在に正しく触れられることは無かった。
或いは……それをすることは、あの日の威光によって、禁忌とされたのかもしれない。
そして日嗣は、己の浅はかさを形にしたような強過ぎる火と日に灼かれていった。
***
(どうして……気付かなかったんだろう)
……もう遥か前から、誰もがそれを語っていたというのに。
──お前、俺が怖くないのか?
──いるよ。あ、でも何て言っていいか分かんない。いた、の方が正しいかもしれないけど……だけど淡島ではこういう話、基本的に禁句だから。特にあのお方の話はみんなしない。──しちゃいけないんだ。
──少なくとも……貴女様がお想いになる神々は、その花の見栄えで人の想いを選り分けることはなさらないかと。
──……己が外見だけで男に靡くような浅ましい愚か者でなかったことを……育ての親に感謝するがいい。
(……)
……神依の頭に日嗣の声が響く。
だが……以来、日嗣はその豊葦原の歴史に名を連ねることは二度と無かった。
その存在に正しく触れられることは無かった。
或いは……それをすることは、あの日の威光によって、禁忌とされたのかもしれない。
そして日嗣は、己の浅はかさを形にしたような強過ぎる火と日に灼かれていった。
***
(どうして……気付かなかったんだろう)
……もう遥か前から、誰もがそれを語っていたというのに。
──お前、俺が怖くないのか?
──いるよ。あ、でも何て言っていいか分かんない。いた、の方が正しいかもしれないけど……だけど淡島ではこういう話、基本的に禁句だから。特にあのお方の話はみんなしない。──しちゃいけないんだ。
──少なくとも……貴女様がお想いになる神々は、その花の見栄えで人の想いを選り分けることはなさらないかと。
──……己が外見だけで男に靡くような浅ましい愚か者でなかったことを……育ての親に感謝するがいい。
(……)
……神依の頭に日嗣の声が響く。