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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第8章 神として
 そしてそのまま……腐り落ちることすら許されない身と魂はその傷口をひきつらせ、より頑ななものにしていく。
 無理矢理縫い合わされ、いびつに歪んだ中途半端な魂。
 「……もういい……、もう見たくない」
神依は静かに目をつむりそう呟くと、いろんな感情を混ぜた涙を流す。
 ……ならば自分は、あの男神に取って何だったのだろう。
 男として拒み、神として拒み……今も拒んでいる。
 花の香りがする。風が葉を揺らす音がする。
 「私……やっぱり、できない」
『……どうして?』
「……」
少女はぎゅっと目を閉じたまま頭を横に振る。ただ──
「私……全部受け止められるほど、優しくない……。まだ……心が小さいの」
結局、臆病なのだ。
「……神楽殿でも、私は聞けなかった。日嗣様も話してはくれなかった。私達は……結局ひとりぼっちのまま、二人でいただけ。それに……きっと私は、あんなふうに貫けない。日嗣様を……救ってはあげられない」
『……』
「……だけど……」
 ──神依……!!
 再び耳に届いてきた声に、神依は一度びくりと肩を震わせ目を開き、天井を仰ぐ。
 「……」
何が起きているのだろう。どうしてあんなにも……必死になって、声を張り上げているのだろう。
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