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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第8章 神として
 そして、どうして自分はこんなにも……心が痛いのだろう。苦しいのだろう。
 『……あの子が、嫌いになった?』
「……ッ……」
神依は声がした方に振り向く。
 あの巨きな水晶には、いつの間にか……不思議な顔をした、自分の姿が映っていた。
 泣きそうな、悲しそうな……それでも何かを信じているように、ほのかな笑みを唇に浮かべて。
『あんな醜いあの子は嫌い?』
「……の」
『……』
「違う……の」
神依の目から、またぽろぽろと涙が溢れる。それはまるで、泣けない誰かの……誰か達の分まで。
「……嫌い……じゃない。嫌いになんか、なれない。だって……だって私は、嬉しかったから。来てくれて……嬉しかった。例え荒ぶる魂にでも、その胸に抱かれて……嬉しかった、寄り添ってくれて嬉しかった。……だって、私も寂しかったから。友達も作れなくて、禊達にも優しくできなくて。……一緒に身を寄せ合って歩いた道は寒かったけど、あったかかった」
『……』
「だけど……だけど私は、同じくらい、日嗣様を許せない。……怖いの。だって私は、あんなに強くない。花の女神様のようにはなれない。あんなふうに……たくさんの女の人達を傷付けた日嗣様を、巫女達は……私達はきっと、許してはいけなかった」
『……』
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