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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第8章 神として
 そして──神さぶ巫女の舞によって興り、天孫によってその名を与えられた偉大なる龍神は、それを請けるとただ一人の、淡島の住人に目を留めた。
 「……!?」
それは禊──神でも巫女でも、人でもないとまで示された、禊だった。
 禊はその神が何を求め己を見ているのか正しく察し、しかしそれを受け入れることはできなかった。
 そもそも御霊祭とは、その魂に神名を与え神として祭り上げる儀式のこと。巫女が舞にて魂を興し、その魂に日嗣が神名を与え、神と成す。その新たな神から了承と、天津神への服従が宣誓されたなら……巫女はそれを受け淡島の人間として新たな神への服従を誓う。
 ……淡島の人間の、神への服従。
 その一連の流れが成されて初めて、神は御姿を顕すのだ。
 しかし己がそれを顕すに相応しい存在であるとは毛筋程も思わず、禊はたじろぐ。その魂を、更に神から遠ざける。
 しかし……それを留めたのもまた、神だった。
「……」
「……」
かつて自らが、主を救ってくれるよう乞い願った二柱の神……日嗣と猿彦が、互いに視線を交わすと禊に向かって深く頷く。
 巫でもない、人ですらない端の者に、それを許すという。
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