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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第2章 神隠しの行く末
 男の手が触れていた肉の花は未だその余韻に震えている。
 「……」
やや時を置き少女が息を落ち着かせて来ると、男はやはり何も言わず体を起こした。少女の拘束はいとも簡単に解け、弛緩した手がぱたりと砂の上に横たわる。
「大丈夫か」
声を掛ければ少女は半ば呆然と、宙を見るように自身を見上げ頷いた。全身から力が抜けてしまっているようで、手を貸して座らせてやればようやく現実に戻ってきたかのように口を開く。
「……びっくり、して……」
 正直──何が起きたか分からない。気持ちいいのと怖いのとがぐんぐん体を駆け上がってきて……。
 ただ誰かに身体を触れられ、心を導かれることが……あんなにも気持ちいいなんて思わなかった。
(……あ)
しかし同時に、なりふり構わず男にすがってしまった姿を思い出して少女は今更のように頬を染め、肩から落ちそうな羽織を引き寄せる。自分にはぶかぶかで、座っていればそれ一枚で事足りた。
 再び剣を持ち立ち上がった男はそれを見て、淡々とした、変わらぬ口調で少女に告げる。
「……それでいい。その肩は決して人目に晒すな。どちらも……お前に取っては良くないものだ」
「……え?」
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