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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第2章 神隠しの行く末
 言われて、もう痛みが引いていることに気付いた少女はほんの少し衿元をずらし右肩を覗いてみた。あの赤く走った水筋のような紋はその色を薄くし、中程を遮るように新たに不思議な紋様が浮かんでいる。紅が混じったような鬱金の印。
 最後に──男に唇を落とされた場所。
「あの、これ、……何ですか? ……あれ?」
「……」
 ──違う。
 これが何であるかより、もっと問わなければいけないことがあったような気がする。なのにそれが頭の中で見付からなくて、上手く表現出来ない。
 男も何も言わず……その波音だけになった空間に、別の男の呑気な声が割り入るのは突然だった。
「──よう、孫。こっちも済んだみてーだな。二、三匹アレ、捕まえてきてやったぜ」
「ああ」
(あ……)
それは引き上げられた自分を真っ先に労ってくれた声。それが背後から聞こえてきて、せめて改めて礼を──と思って振り向いた少女は、
「──…っ!!」
その目線の先に、あの手足のある蛇を平然と掴む男……多分男と思われる、異形の出で立ちの者を認めて思わず身を竦めた。
(え……えっ? なに……? ……人……、男の人なんだよね……?)
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