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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第2章 神隠しの行く末
少女が目の当たりにしたのは、つり上がる太い眉にぎょろりと剥き出した大きな目、獅子のように左右に突き出た鼻──と、そんな木彫りの面で顔の上半面を覆い、見上げてしまう程に高い背丈と、それと同じくらい長い緋の鬣(たてがみ)を深緑の裳裾(もすそ)に悠然と垂らし歩む男の姿だった。そして応える日嗣が剣を差しているのに対し、男は鳥の羽根で作られたような扇を腰元に結わえている。
(…………)
日嗣と親しげなので、多分男自体は悪い者ではないのだと思う。ただその姿があまりに異様なのと、あの蛇の存在が相まって余計に怖く思えてしまう。
息を呑み縮こまる少女を見た面の男は、唯一見える口元に困ったような笑みを浮かべ、日嗣と交互に見遣って話を進めた。
「悪ィな。俺か蛇かどっちに驚いたか分かんねえけど、嬢ちゃんにはそのうち迎えが来るからもうちっと待ってろな。──お前の方が長引きそうだったから、ついでに洞主も呼んできた。いいだろ?」
「構わぬが……余計なことを言っていないだろうな」
「いやいやどんだけお前とツルんでると思ってんだよ、言うわけないだろ。それより──」
「……」
言葉と共に面の男の視線が未だ蠢く蛇に向けられ、それに倣うように日嗣の目も動く。
(…………)
日嗣と親しげなので、多分男自体は悪い者ではないのだと思う。ただその姿があまりに異様なのと、あの蛇の存在が相まって余計に怖く思えてしまう。
息を呑み縮こまる少女を見た面の男は、唯一見える口元に困ったような笑みを浮かべ、日嗣と交互に見遣って話を進めた。
「悪ィな。俺か蛇かどっちに驚いたか分かんねえけど、嬢ちゃんにはそのうち迎えが来るからもうちっと待ってろな。──お前の方が長引きそうだったから、ついでに洞主も呼んできた。いいだろ?」
「構わぬが……余計なことを言っていないだろうな」
「いやいやどんだけお前とツルんでると思ってんだよ、言うわけないだろ。それより──」
「……」
言葉と共に面の男の視線が未だ蠢く蛇に向けられ、それに倣うように日嗣の目も動く。