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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第2章 神隠しの行く末
同時にその右手が剣の柄に添えられ、何をするのか悟った少女は一瞬目を見開いた。
(あ──)
無言のままに抜かれる剣。鞘に比べ何の変哲も無い鋼の刀身だったが、その用途は一つしかあり得ない。剣が全て抜かれると、面の男もまた何も言わず一匹を砂の上に放り投げた。
「──っ……」
嫌な目にも遭ったが、そんな場面も見たくはない。少女はぎゅっと目をつむるが、耳を塞ぐのが間に合わずブツリと一度嫌な音を聞いてしまう。おそらく一太刀。
「…………」
それからほんの数秒、耳では何の音も拾えずおそるおそる目を開けば、男達は地に膝を付いてじっと足元を見つめていた。
「……元は蛟(ミズチ)か」
「……」
視線を辿れば、あの蛇の姿は無く──代わりに在ったのは、首と胴が分かたれた小さな龍のような生き物。
その銀と水色が混ざったような不思議な色をした体から、黒い粘りけのある液体が滴り白砂にじわじわと染み込んでいく。
不気味な姿で自身を襲ったものではあったが、何故か少女にはその光景がとても悲しいものに思えた。
そして意図せず三人が見守る中、断たれたはずの首がぴくりと動いて日嗣に向き直り、言葉を発する。
(あ──)
無言のままに抜かれる剣。鞘に比べ何の変哲も無い鋼の刀身だったが、その用途は一つしかあり得ない。剣が全て抜かれると、面の男もまた何も言わず一匹を砂の上に放り投げた。
「──っ……」
嫌な目にも遭ったが、そんな場面も見たくはない。少女はぎゅっと目をつむるが、耳を塞ぐのが間に合わずブツリと一度嫌な音を聞いてしまう。おそらく一太刀。
「…………」
それからほんの数秒、耳では何の音も拾えずおそるおそる目を開けば、男達は地に膝を付いてじっと足元を見つめていた。
「……元は蛟(ミズチ)か」
「……」
視線を辿れば、あの蛇の姿は無く──代わりに在ったのは、首と胴が分かたれた小さな龍のような生き物。
その銀と水色が混ざったような不思議な色をした体から、黒い粘りけのある液体が滴り白砂にじわじわと染み込んでいく。
不気味な姿で自身を襲ったものではあったが、何故か少女にはその光景がとても悲しいものに思えた。
そして意図せず三人が見守る中、断たれたはずの首がぴくりと動いて日嗣に向き直り、言葉を発する。