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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第2章 神隠しの行く末
 ならば彼らもまた同じものなのだろうか。
 ともかく話の中身は理解できずとも、自分を襲ったのが小さな龍の本意ではないことは感じ取れた。日嗣を見上げた海の底のようにたっぷりとした黒い瞳は純のまま、それでも命を絶たれてしまって少し可哀想にも思える。
 「……」
さりとて自身が口を挟む隙も無く……心なしか迷子のような寂しい心地でいれば、遠くの方から慌ただしく砂を踏む数人の足音が聞こえてきて、少女はそちらに振り向いた。


【4】

 そこで初めて、少女はここが洞の中であることを認識した。ただ砂も石壁も、海と人を除く全てが白い。その海の水が流れ込む石壁の裂け目と対となる場所に、同じようにどこかに繋がる裂け目があって、そこから一際色彩豊かな女性が駆けてきている。
 裾の長い華やかな着物にふわふわと揺れる羽衣(ひれ)。様々な色の玉を繋いだ簪や飾りと、少女にもすぐに何か特別な人だということが理解できた。歳は日嗣より幾分か上に見えるが、並び立っても彼女は遜色なく美しい。
 そしてその背後には──皆と比べてしまえば随分と簡素な衣を纏った、同い年ほどの青年と小さな男の子の姿。ただ皆に共通するのは、勾玉や玉(ぎょく)の飾りを着けていること。
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