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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第2章 神隠しの行く末
「これは──何たること。よもや御令孫(ごれいそん)までお出でとは」
「おう、来たな。洞主、あれがさっき話した水蛭子の嬢ちゃんだ」
女性は男達の前で礼を取ると、面の男の言葉に従い頷き少女に向き直った。
途端に集まる視線に、少女はドキリとして自身を守るように日嗣の羽織を握りしめる。取り分け、女性の背後で佇む青年の眼差しが意味ありげに強く突き刺さって、少女は気まずく視線を泳がせた。
「──禊(みそぎ)」
「はい」
女性は青年をそう呼び、青年はもう自身がすべきことを弁えているかのように少女の前に跪く。そして一瞬、少女の纏う羽織に眉をひそめ──しかし次の瞬間には何事も無かったかのように、「失礼します」と少女の体を横抱きにして立ち上がった。
「あっ、え……あの」
「悪ィな、俺達が無理矢理引き上げちまったもんだから、ちょっと心も体も驚いちまっててな。良くしてやってくれ」
「はい、心得ております」
「……」
面の男は、それがさも当然のことのようにからからと笑っている。
だから、もしかしなくてもこの人達が男の言う迎えだろうかと少女は上目遣いに青年──禊を窺うが、これもまた日嗣と同じ程に表情を崩さない。
「おう、来たな。洞主、あれがさっき話した水蛭子の嬢ちゃんだ」
女性は男達の前で礼を取ると、面の男の言葉に従い頷き少女に向き直った。
途端に集まる視線に、少女はドキリとして自身を守るように日嗣の羽織を握りしめる。取り分け、女性の背後で佇む青年の眼差しが意味ありげに強く突き刺さって、少女は気まずく視線を泳がせた。
「──禊(みそぎ)」
「はい」
女性は青年をそう呼び、青年はもう自身がすべきことを弁えているかのように少女の前に跪く。そして一瞬、少女の纏う羽織に眉をひそめ──しかし次の瞬間には何事も無かったかのように、「失礼します」と少女の体を横抱きにして立ち上がった。
「あっ、え……あの」
「悪ィな、俺達が無理矢理引き上げちまったもんだから、ちょっと心も体も驚いちまっててな。良くしてやってくれ」
「はい、心得ております」
「……」
面の男は、それがさも当然のことのようにからからと笑っている。
だから、もしかしなくてもこの人達が男の言う迎えだろうかと少女は上目遣いに青年──禊を窺うが、これもまた日嗣と同じ程に表情を崩さない。