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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第3章 世界の理
 どんな回りくどい説明を受けたところで、それはとどのつまり……捨て子ではないか。
 ならば自分も捨てられたのだろうか……。戻ってきても良かったのだろうか。
 そんな思いが渦を巻き、もうそれ以上の言葉が出なくなってしまった。
 そしてそれを察した洞主もまた、今度こそ足を止め少女を慰めるようにその頭を撫で慈しんでくれる。ただその顔にはどこか悲哀を含んだ笑みが浮かんでおり、それで少女は……すぐに分かった。分かってしまった。
 きっと彼女もまた、自身の子をその手で流したことがあるのだろう。
「洞主様」
「そんな顔をおしでないよ。……確かにこれは母にも子にも気の毒なこと。じゃが、母は一心に子の成長を願い、よく伸びる葦で舟を編み願掛けをして水に流す。
水蛭子の中には運良く外の世界に辿り着き、異界の血肉、力、魂と混じり成長するものがあってな。そして更に稀にこちらに戻ってくるものがいて、そういうものがそなたであり、私であり、禊であり、童でもある」
「えっ……本当に?」
自分だけではない──ここに居る者全てが捨て子だったなんて、そんなことがあるだろうかと禊を見上げれば、彼はそれが当然のことのようにはい、と答えた。
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