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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第3章 世界の理
それからすぐに、地を踏む足の感触や音が変わるのが感じられた。体に伝わる揺れは、もう段差もなく平らな土を歩いているようなものに思える。
そして花のような蜜のような、むせ返るほど甘い香りがした場所を通り過ぎると、少し離れたところで自分と同い年くらいの女の子達が笑っている声が聞こえた。たまに男性のものも混じり、人がいるのだと分かる。
対面する訳ではないのにドキドキと胸が鳴り、緊張から体が強張る。しかしそれもほんのわずかな時間で、また体に感じる揺れが変わると再び禊によって声を掛けらた。
「もうよろしいですよ」
「うん……」
おそるおそる目を開いて辺りを見渡せば、そこは名前の分からない背の高い木々に囲まれた小路(こみち)。
真白の石が敷き詰められて、人が足を踏み出すたび耳に心地好い音が届く。それを除いてはただ──あまねく静謐。肌に触れる空気も、不純物が一つも混ざっていないような朝の冷涼さが保たれていた。
そして小枝と白い紙の飾りが結ばれた幾つかの鳥居を抜け、更に進んだ森の奥──
「わあ……」
その先には、自分の背の何倍もある巨大な注連縄(しめなわ)が掛けられた、御殿のような社(やしろ)が鎮座していた。
そして花のような蜜のような、むせ返るほど甘い香りがした場所を通り過ぎると、少し離れたところで自分と同い年くらいの女の子達が笑っている声が聞こえた。たまに男性のものも混じり、人がいるのだと分かる。
対面する訳ではないのにドキドキと胸が鳴り、緊張から体が強張る。しかしそれもほんのわずかな時間で、また体に感じる揺れが変わると再び禊によって声を掛けらた。
「もうよろしいですよ」
「うん……」
おそるおそる目を開いて辺りを見渡せば、そこは名前の分からない背の高い木々に囲まれた小路(こみち)。
真白の石が敷き詰められて、人が足を踏み出すたび耳に心地好い音が届く。それを除いてはただ──あまねく静謐。肌に触れる空気も、不純物が一つも混ざっていないような朝の冷涼さが保たれていた。
そして小枝と白い紙の飾りが結ばれた幾つかの鳥居を抜け、更に進んだ森の奥──
「わあ……」
その先には、自分の背の何倍もある巨大な注連縄(しめなわ)が掛けられた、御殿のような社(やしろ)が鎮座していた。