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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第3章 世界の理
 「大きい……、すごい」
「洞主様を始め、決められた者しか立ち入れぬ淡島の中心部です。水蛭子は決められた期間こちらの奥社で過ごし、それから個々の住まいに移ることとなります」
「そう……」
 少女は半分ほどを聞き流し、しげしげとその巨大な注連縄を仰いでいた。ものすごく重そうで、どうやって作ったのか、どうやって持ち上げたのかが不思議で、屋根が崩れないのか、縄自体が落ちないのか心配で──見惚れてしまっていた。
 それから探るように社の奥に目を遣れば、格子越しに見えたのは植物や紙の飾りと白い幾つもの碗、そしてその中心に据えられているまん丸の鏡……。
 禊はそんな少女を見て小さく息を吐くと、その視線を断つように洞主に向き直る。
「では洞主様、先に湯殿(ゆどの)の方にお連れさせて頂きます。奥社といえど、この有り様で上がるのは……いささか憚られますので」
「うむ。禍津霊に転じていたとはいえ、こぞって水霊が押し寄せるほどの玉。磨けばきっと、今にも増して可愛らしい見姿になりますえ。それが済んだら今日はそのまま仮宿(かりやど)にお下がり。そしてよく食べ、よく眠るといい」
「あ……」
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