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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第3章 世界の理
少女は別れを拒むような眼差しを一瞬浮かべるが、それはならないことも察してすがるように口を開いた。
「洞主様……また会えますか?」
「無論。そなたにはこれから、学ぶべきことや決めなければならぬことが山程ある。時には私の手が必要なこともな。だが、それもほとんどはそなたが気負うことはない。故にまずは何より体を休め──そうじゃな、禊や童を頼り、よう甘えてみるといい」
「……甘える?」
その言葉は、一見禊にはひどく不似合いにも思える。ただ、ここに来るまでのほんのわずかな時間……その間に垣間見えた彼の優しさも想い、控えめにではあったが少女は素直に頷いた。そして洞主もまた、そんな少女を見ていささか安心したように肩の力を抜く。
臆病さか慎ましさかは知れない。それでも──悪くない。
「禊よ。水蛭子といえどその子は神に拾われし子。ようよう頼みましたえ」
「はい、承りました」
そうして洞主は少女らが見えなくなるまでその背を見送り、少女はあたかも産湯に浸かるべく禊によって湯殿──風呂に運び込まれた。
「洞主様……また会えますか?」
「無論。そなたにはこれから、学ぶべきことや決めなければならぬことが山程ある。時には私の手が必要なこともな。だが、それもほとんどはそなたが気負うことはない。故にまずは何より体を休め──そうじゃな、禊や童を頼り、よう甘えてみるといい」
「……甘える?」
その言葉は、一見禊にはひどく不似合いにも思える。ただ、ここに来るまでのほんのわずかな時間……その間に垣間見えた彼の優しさも想い、控えめにではあったが少女は素直に頷いた。そして洞主もまた、そんな少女を見ていささか安心したように肩の力を抜く。
臆病さか慎ましさかは知れない。それでも──悪くない。
「禊よ。水蛭子といえどその子は神に拾われし子。ようよう頼みましたえ」
「はい、承りました」
そうして洞主は少女らが見えなくなるまでその背を見送り、少女はあたかも産湯に浸かるべく禊によって湯殿──風呂に運び込まれた。